何故国会を開かないのか。

国会は、今年の6月16日に通常国会の会期を終えて閉会しました。そして翌月、7月16日に、野党4党の議員が憲法53条に基づく臨時国会召集の要求を行いました。コロナ禍は第5波の入り口に入る中、飲食店に対する金融機関からの締め付けなどの政治の混迷、ワクチン供給の滞り、オリンピック開催を目前に控えバブル方式の不備が明らかになるなど異例づくしの事態において、国会の場で政府に説明を求め、また対応策・支援策を検討できるよう、国会の召集要求を行うのは当然のことだと思いました。 憲法53条には、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と規定されていますが、召集要求から一か月を経た今でも、内閣は国会を召集しません。臨時国会の召集要求から何日以内に開くとは規定されていない、だから、今は開かなくても、10月に衆議院議員の任期満了との関係でもともと臨時国会開催を予定していたパラリンピック後の時期に開けば言い逃れはできる、との思惑が透けて見えます。しかし、憲法が召集要求を認めているということは、召集要求から合理的な期間内に召集されるのが当然であり、自民党の改憲草案でも、臨時国会召集の要求があった場合、20日以内に召集されなければならないと書かれています。 今回の召集要求から既に20日以上が経過しています。内閣の、憲法を無視し国民に対する説明義務を軽視する態度は、厳しく追及していくべきと思います。 1年半を超えるコロナ禍での政府の対応を振り返ると、感染が拡大すれば緊急事態宣言を出し、国民に活動の自粛を要請する、感染が少し落ち着けば、Go To Eat やGo To Travel等を促し、再び感染が拡大すると緊急事態宣言を出す、というようにブレーキとアクセルが交互に繰り返されてきました。このような感染力の強いウィルスを私達も政府も経験したことがなかったから、最初は場当たり的に見える対応でも仕方なかった面があると思います。 しかし、もう、コロナ感染拡大から1年半以上の期間が経っていて、その間に、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株と、変異株が次々と発生し国内に持ち込まれ、そしてまた新たにラムダ株も発生しています。入院したくても入院できず自宅療養を強いられる人が増加し、医療崩壊ともいえる状況が起きてしまっています。 本来はこのような状況を未然に防ぐために、そして今となってはこの状況を一刻も早く改善するために、国会を開いて法律を作り、政府はリーダーシップを取って国を動かさなくてはならない。一人一人が感染抑制に努めることが大事なのは大前提。でも、「要請」や「任意」ではどうにもならなくなっている現状では、強制力を伴う立法で、医療崩壊を起こさないこと、コロナ患者への医療提供体制を整えることが求められています。そのためには、医療機関等に対する私権制限に合理性を持たせること、補償を伴うことが前提となり、国会で充分な審議が必要です。国会を閉じている余裕などないはずです。 国の一大事に、一番働いていなければならないはずの国会。逆にその国会だけが、コロナ禍などどこ吹く風で選挙を睨んだ平常どおりの政治日程で動いているように見えてしまうのは私だけでしょうか。

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